CASE STUDY 導入事例

株式会社ユタカ製作所 様
工具管理のDX化による品質管理体制向上
導入の経緯
鉄道車両に使用される電気部品の開発・製造にあたっては、品質と安全性を徹底的に追及するため、高い品質管理体制を敷く必要があります。
600点以上ある工具・計測器についても、使用状況や校正状況など徹底した管理を実施していますが、さらなる品質管理向上を目的とし、
RFID技術を活用した工具管理の検討を始めました。
導入前の課題
・ 校正管理徹底に伴う業務負荷
ノギスなどの校正が必要な計測器は校正管理を徹底するため、校正期限の管理や確実な校正実施、校正履歴の記録を行っているが業務負荷が高い。
・ リアルな利用状況の把握
工具・計測器の資産管理台帳は整備されているが、利用時の記録は取得していなかったため、在庫状況をリアルに把握することが困難である。
・ 利用履歴の把握
利用時の記録を取得していないため、個品単位での利用回数の集計ができず、資産を有効活用できているかわからない。
導入いただいたシステム
・ システムの特長
RFIDを活用した工具の持ち出し返却を管理するシステムです。
ICタグが付いた工具や計測器をタッチするだけで持ち出し返却の登録が簡単に行えます。さらに計測器の校正期限を登録しておくことで、万が一、校正期限が過ぎ校正未実施の計測器を持ち出そうとしても画面上で利用者に警告することで使用を未然に防ぐすることが可能です。リアルな在庫状況や、工具の利用履歴も瞬時に把握可能です。


導入のポイント
・
ICタグによる持ち出し返却登録
卓上で据置型のリーダにICタグが付いた工具をタッチすることで、持ち出し返却登録が可能です。
手入力が一切ないため入力ミスを防止するとともに、登録業務の効率化を実現します。


・ 校正期限の管理
校正が必要な計測器は校正期限を登録します。
万が一、校正期限が過ぎている計測器をタッチした場合は、赤く表示され持ち出し者に警告します。
また、管理品一覧や在庫照会画面から校正期限の範囲を指定して抽出することも可能なため確実な校正実施を実現します。
・ 持ち出し理由の登録
持ち出し理由を登録することが可能です。
社内利用のほか、社外貸し出し、出張持ち出し、修理、校正など、どのような理由で持ち出したかを記録することができます。
・ 在庫照会、履歴照会画面
在庫状況では、持ち出し中や在庫管理中など現在の在庫状況を瞬時に把握することが可能です。
返却予定日の確認もできるので、いつ頃返却されるのか、未返却のものはないのかといった確認もできます。
履歴照会では、持ち出し返却履歴を時系列に表示します。利用者、管理品、期間などで抽出することが可能で、工具のトレーサビリティを実現します。
・ 金属対応ICタグ
工具に取り付けるため、操作や作業の支障にならないよう、小型でセラミック加工された金属対応タグを使用しています。


導入後の効果
・
持ち出し返却業務のRFIDシステム化による品質管理向上
校正期限は現物貼付のシールによる確認とPC画面による警告の2重チェックが可能となり、業務負荷を増やすことなく、さらなる高レベルでの品質管理が可能になりました。
・ 工具管理業務の効率化
校正期限を登録することができるため、システムによる正確で効率的な校正管理を実現できました。
また、持ち出し返却の登録も非常に簡単で、利用者も戸惑うことなくスムーズに運用を開始することができたため、確実な利用実績を収集できるようになりました。
・ 業務の見える化
誰が、いつ、なにを使用したかを把握できるようになり、返却忘れが発生した時もすぐ利用者に確認するといった迅速な対応が可能になりました。
利用実績をcsv出力できるため、利用回数などを集計することで、在庫の最適化といった資産有効活用に向けた分析が可能になりました。
今後の展望
工具にICタグが付いたことで、他の業務への展開も検討しています。
・
作業実績収集と作業と使用工具の紐づけ登録
RFIDを利用した作業実績収集を行い、作業時間を簡単に取得できるようにし、分析~最適化の実現を目指します。
また、どの作業にどの工具を使用したかを記録することでさらなる品質管理の向上を図ります。
- 設立:
- 1948年
- 所在地:
- 群馬県高崎市剣崎町68番地
- 従業員数:
- 177人(2024年6月末現在)
- 事業内容:
- 高圧コネクタ等、鉄道関連製品の開発、製造、販売
* 本記事の掲載内容は全て、2025年7月1日現在の情報に基づいています。